映画「彼女がその名を知らない鳥たち」


この映画を一言で表現するならば、

「生まれ変わってもそばにいたい」


という普通のピュアな恋愛映画の感想となってしまった。

しかし、そのピュアさは異常で恐ろしい。




※ネタバレ注意

実際にはおらんよ、こんな人、と思う。

彼女、十和子につくしつくしつくし漬けの毎日。

命さえも彼女にあげてしまう、そして彼女の中で生きていたいというと、なんだろうな、これはもう愛というか執着というか自分の人生をこんな捧げられる人がいる人間ってすごいなと。



映画の中において誰目線になるかとか、どんな視点で見ているかは、自分の性格もしくは”観点のクセ”のようなもので決まってくると思う。

私はずっとシンジ目線で見ていた。

いやシンジを応援したくなる第三者の目線で見ていた。



蒼井優演じる十和子は、自分の欲に対してまっすぐでそれが理屈が通らないことでも、常識と外れていても自分の欲にまっすぐ、しかしシンジに対しては素直ではない。直の表現ができない。

ぶっきら棒で傍からみるとむしろ、毛嫌いしているようにも見える。

でもそれって、家族に対する接し方と似ている。無理をしない自分でそこにいる。家族と生活している時の音と空気が映像の中にあった。



いつも作業着で、歯が汚くて、食べ方も雑でよくこぼす。そんな見た目のマイナスを補うどころか、プラスに変えてしまう程、一人の女性につくし続けた人の物語。

ああ、羽をあげたい。




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